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今月の住まい - 2012.01 40「スラブヒーターの家」◎新潟県刈羽村/K邸 ◎ビルダー:有限会社 大恭建興

どこにいても暖かい、土間のある住まい

玄関とキッチンまわりが土間になったK邸。
風通しのいい大空間も、
スラブヒーターのおかげで隅々まで暖かい。
その心地よさを、バランスのいいデザインが高めている。

 結婚して2年、賃貸契約が切れるのをきっかけに家を建てることにしたK夫妻。土地を探しながらビルダーを探し、長岡に拠点を置く大恭建興を選んだ。「実は、3年ほど前にこちらで実家を建ててもらったんです。私自身、結婚前に1年ほど住んでいて、とても住み心地がよかったのでお願いすることにしました」と奥さまは言う。ただし、決める前には、ほかも見てみようと住宅展示場にも二人で出かけている。いくつか見る中で「やっぱり」と落ち着いた。決め手はまず冬にじんわりと暖かいスラブヒーター。これはコンクリート基礎に電熱線を埋め込んで家中を隅々まで暖房するもので、石を敷いた土間でも暖かいという特徴がある。そして暮らしやすい動線。さらには広々として開放感のある大空間。実際に暮らしてみて感じたこれらの魅力は、たとえば見学に訪れただけのモデルハウスでの印象とは違って、説得力がある。「木を使って落ち着ける雰囲気に仕上げるデザインも、とても気に入っていました」と奥さまは続けた。二人とも木が好きで、床などは無垢にしたいと思っていた。ただ、だからといって木だけでつくる家は肌に合わない。「大恭建興のつくる家は素材感のバランスのとれているところもよかったんです」。その後、打ち合わせを経て小幡大樹さんはプランを提出、一度でほぼOKとなった。夫妻と設計者、三人が描いたイメージは初めから通じ合っていたのだろう。そして吹き抜け部分を小さくする、奥さまが好きな「丸」をところどころに加えるなど微調整を加えて、実際の家づくりに入った。

デッキはBBQにうってつけ。土間のキッチンからスリッパでそのまま出られる「BBQ動線」の良さもポイント
2階に設けられたベランダの床と手すりのルーバーはレッドシダーを採用。外観のアクセントにもなっている
玄関まわりは自然由来の塗料を施したスギ板を張っている。塗料自体は透明だが、雨に強く、塗った時から木材の色が変わっていく
キッチンからすぐデッキに出られる動線の良さ。「汚れても気にならない」という土間のキッチン。夏は涼しく、冬はスラブヒーターのおかげで暖かい
「無理せずに無垢を使う」バランス感のいいデザイン
 玄関を入ると大きな土間、その隣りには一角に和室を置いた大きなLDK。キッチンスペースは玄関と同じように土間となり、段差こそあるものの1階は大きなひとつながりになっている。一方で、リビングの一部は吹き抜けになり、また窓の外にはキッチンまで続く長いデッキがあって開放感も抜群だ。「玄関に自転車とバイクを置きたい」というご主人の要望と、実家で奥さまがその使いやすさを実感していた「土間のキッチン」を踏まえ、その上で「動線のいい家」というリクエストを組み合わせたレイアウトである。確かに、何をするにも動線は単純で短い。リビング、ダイニング、キッチンは直線でつながり、土間のキッチンの隣りには土間の洗面台と洗濯機を置いた水まわり、その反対側には段差なくデッキが続く。「BBQするにはこの上なく理想的」なことから「BBQ動線」と小幡さんが洒落たのも納得できる。
 そして、この暮らしやすい間取りに心地よい時間を加えているのが、選び抜いた素材とデザインだろう。「新建材はなるべく使わないで家を建てるのがうちのやり方です。家もいい年を重ねさせたいから。とはいえバランスも大切。『無理せずに無垢を使う』ということでしょうか」と小幡さん。床には肌触りの良さからカバザクラ、あらわしにした梁には目の詰まったベイマツ、ほかに窓枠やドア枠、巾木、暖気の吹き出し口にまで無垢を使うというこだわりを見せながらも、天井にはモイスボード、壁は珪藻土のクロス、和室の障子にはワーロンと機能を持ち合わせた素材を上手に組み合わせている。ナチュラルでありながらもモダンのスパイスが利いて、空気が清々しく感じられるのは、「無理せずに」という程よさが生きているからだろう。
 見えないところでは、高気密高断熱という基本性能を踏まえているK邸。「スラブヒーターも、この基本性能だからこそ、効果を最大限に引き出すことができるんです」と小幡さんは言う。玄関の土間からキッチンまで、さらにはリビング階段を介して2階まで大きくつながる空間も、こうした家の性能があるからこそ、冬でも隅々まで暖かい。
 もうすぐ初めてのお子さんが生まれるというK家。「土間は将来、お子さんのいい遊び場になりますよ」と小幡さん。雨の日や雪の日でも家の中で楽しく遊ぶ子ども、それをリビングから見ているお父さんお母さん。そんな幸せな一コマが見えてきた。
玄関を開けると広い土間。「自転車やバイクでそのまま乗り出したい」という意向を受けて左手奥にも戸を設けた
土間の玄関からLDKを見る。リビング、ダイニング、キッチンが直線でつながり、リビングは一部吹き抜けに。床には、肌触りの良さからカバザクラを選んだ
キッチンから直線でつながる洗面台とバスルーム。土間で続いているため動線が良く、掃除もしやすい
2階の階段まわりは、机を設けたフリースペースになっている。机の向こう側はリビングの吹き抜け
玄関土間との仕切りや天井にはワーロンを採用。ワーロンとは樹脂で和紙を挟んだもので、和紙の風合いを持ちながらも長持ちするため、張替の手間がいらない
2階のフリースペースには本棚と机を造り付けている。こうした家具も大恭建興の製作
2階にある主寝室。掃き出し窓の外はベランダ

DATA

  • 敷地面積 /238.80m2(72.23坪)
  • 1階面積 /69.56m2(21.04坪)
  • 延床面積/ 137.46m2(41.58坪)
  • 2階面積 /67.90m2(20.53坪)
  • ◎工法/木造軸組工法
  • ◎床材/カバザクラ
  • ◎基礎/ベタ基礎
  • ◎開口部/断熱サッシ
  • ◎断熱材/外断熱(ネオマフォーム)
  • ◎キッチン/TOYO KITCHEN、造作
  • ◎屋根材/ガルバリウム鋼板
  • ◎バスルーム/TOTO
  • ◎外装材/スギ下見板張、
  • ◎竣工年月/2011年8月
  •  オメガ・アクロフレックス
  • ◎家族構成/夫婦
  • ◎内装材/珪藻土クロス、モイス

■設計・施工

有限会社 大恭建興
〒940-0861 新潟県長岡市川崎町1581-2
TEL.0258-39-5858 FAX.0258-39-5859

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