

こんな家で暮らしたら、もうじき3歳になる長男のこうちゃんでなくても、きっと毎日が楽しくて仕方がないだろう。
S邸はご主人と奥様、そしてこうちゃんの3人家族。結婚以来、アパート暮らしをしていたが、ご主人は「どうせ家賃を払うなら、子どもが入園する前に、小さくても庭がある一戸建てに住みたい」と思った。そんなある日、職場にも便がいい、ちいさな分譲地の一区画を見つけた。折しも、奥様のおなかには、第2子(こうちゃんの弟か妹)が宿っている気配も…… 。
「つくるなら自然素材を使った木の家、でもあまり木が主張しすぎるのもちょっと……」とSさん。希望する住まいの構想をあれこれ考えながら、木の家では定評のある某ビルダーを訪ねた。しかし話をしていても、何となくしっくりこない。
「今思えば私が求めたものは住まいづくりのプロがもっているアイデアや発想力。断片はイメージできても素材を含めた心地よい空間づくりはなかなか難しいですから」という。

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![]() 玄関を入って右がバスルームとトイレ、洗面室。左はスキップフロアの“母屋”へ。格子状の照明はオリジナル。格子を通して自然光と照明の両方の明かりがもれる。 |
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光と陰に導かれる玄関アプローチ。 | ![]() |
ボクが“こうちゃん”。庭に面したウッドデッキに通じる明かり採りの窓は、こうちゃん専用の出入り口。「今日はどんな天気かな」 |
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今では珍しい真鍮製のドアノブ。 | ![]() |
デッキと連続する掃き出し窓の内側は障子戸。これは戸袋から引き出すための短冊引き手。 | ![]() |
段差を利用した収納の扉の取っ手。腰かけたとき足に当たらないよう、柔らかい革を使っている。 |
リビングから庭の樹木を眺める。窓を開放すると風の道が生まれ、気持ち良い外気が入り込む。
結局、最初のビルダーとは話が進展することなく、次に訪ねたのは、木の住まいづくりでは地元で100年近い歴史と伝統があり、寺社造営の宮大工としての実績も積む美登利屋工務店だった。まず最初に要望したのは、①小さくても「土に触れる」ための庭がほしい②家じゅうどこもかしこも開放的で明るいだけの家ではなく、昔の家にあったような陰影のある落ち着ける場所がほしい③子どもたちの成長のためにも、できるだけ自然素材を使った健康的な家④吹き抜け⑤ビルトイン・ガレージ——そして⑥冬でも暖かく過ごせる家。
そして出来てきたプランが一段下った居間のあるスキップフロアの家だった。「住まいづくりにこんな考え方もあるんだ」と驚いたと同時に、「図面や模型を見ながら何度も話し合って、納得はしたものの、最初はちょっとというか結構不安もありましたね。5層に重なるフロアというのが、なかなかイメージしにくかったんです」。
しかし実際に出来上がってみると、各層ごとに重なり合う光と陰によって居場所が生まれ、とても落ち着くという。さらに機能的で効率的、プラス楽しさにあふれた住まいに大満足。なかでもこうちゃんは、毎日が楽しくて仕方がない様子。このスキップフロアと、美登利屋工務店が提案したさまざまなアイデアは、こうちゃんにとっては遊園地にも匹敵するほど楽しく、刺激的なのかもしれない。
間もなく家族が増えるSさんご一家。この家でどんな歴史を刻んでいくのだろうか。
| リビングと一体になったダイニングルーム。通常ならここが1階。 | キッチンとつながる和室。左の障子はリビングとつながる気配窓。 | バスルームと洗面脱衣室は玄関を挟んで独立している。 |
| 今第3階層のフリースペース(書斎)は、第4階層への踊り場としての機能ももつ。右の階段を上がると子ども室、左はご夫妻の寝室へ。 | Ⅱ型の対面式キッチンは奥様の要望。 | 第5階層は子供室にある広いロフト。書斎の真上にあたる。 |
■設計・施工
株式會社 美登利屋工務店
〒381-2205
長野市青木島町大塚1498-1
TEL.026-285-7484
FAX.026-285-7485
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