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住む人に優しい自然素材の家

感触がよく、素足で歩ける木の床の家が欲しかった

ベイ松仕立てのドアを開けてI邸に入ると、木肌の美しい床が一面に広がり、立つだけで温もりのある感触が伝わってきた。出迎えてくれる家族は皆、素足、それが第一印象。「素足が好きで、はだしで歩ける床を、とお願いしました。サワラは感触も柔らかくていいです」と妻は話してくれた。
マンションが手狭になり、Iさんが家を建てるにあたっての要望は「家族で自然と季節を感じ、楽しむ家」。いろいろな場所から緑が感じられ、風の通りがよく、明るい。そして体に害のない自然素材を用いてほしい...。このすこやかな家を実現してくれる建築家はと住宅雑誌を読み続けたところ、付箋がつくのは偶然、加藤武志さんの家ばかりだったという。
「ぜひ、とアトリエを拝見し、木の使い方がすごくいいなあと感激しました」とIさん。しかも、自然素材が声高に主張せず、優しげなのが加藤テイスト。I邸も、木の床、珪藻土の壁、和紙の天井と壁...と自然素材尽くしで、しかもさりげなく、全体にしっとりと落ち着いた雰囲気だ。「もともと皆、健康ですが、それにしてもこの家に住んでからは、風邪もひかない。やはり家の素材も関係しているのかな、と思います」とは妻の談だ。

左/リビングの天井には、土佐和紙を採用。紙を天井に用いると繊維が光を乱反射するため、照明の光が穏やかになる。土佐和紙は種類が豊富で、壁の色などと合わせやすい利点も
上左/和室は、障子には月桃紙、壁には越前和紙の一種・玉紙を使用。「玉紙は通気性や調湿機能を持ちながら、撥水性と防汚性に優れている。壁面に使うのに非常に適しています」
上右/主寝室は壁、天井ともに土佐和紙で空気が爽やか



上左/緑豊かなアプローチ。足元にはアンティークの枕木が
上右/リビングからダイニングにかけてはサワラ材の床
下/サワラ材を張った2階の浴室。上部の換気扇と低い位置の開口の組み合わせで通風効果もよく、木の乾きも良好

AC.キッチンは複数で作業できるよう、オープンな仕様。対面側にはステンレス張りのゆったりした作業スペースがあり、この日もピザ生地を伸ばすのに重宝。壁側には、すりガラスの開口があり、採風や穏やかな明かり取りとして機能
BD.通風に役立つキッチンの勝手口を出ると、プチ菜園が広がり、ハーブが元気に育っていた。「思いついたときにパッと採れるので重宝しています」(妻)
E.緩やかな切妻の屋根が架かる外観。墨色に染められた板張りが木の緑を引き立てる。植栽は落葉樹と常緑樹が半々。四季を伝え、目隠しとしても機能する

ワークスペースは、ダイニングやキッチンと対角線上にあり、ほどよく離れながら会話もOK。デッキとも一直線で結ばれ、窓を開けると夏は涼しい

開放感と落ち着きのある空間で居心地アップ

I邸の外観は、2階の小さな開口が目に入る程度で割合閉じた印象だが、内部はとても明るいのに驚かされる。それは各部屋が緩やかにつながるレイアウトで、道路からは見えない大開口、吹き抜け部のトップライト、随所に設けられた小さい開口からの光がよく回るから。「昔からある住宅地なので、視線が外部とかち合わないよう配慮。それでメインの開口は板塀や植栽で覆われたデッキを囲むようにつけました」(加藤さん)。言うまでもなく、開口は風の通り道として機能。和紙や珪藻土塗りの壁、木の床とともに心地よい空気をつくり、健康的な家を維持するのに貢献している。
また、どの開口からも緑が眺められ、豊かな気持ちにさせられるのも特徴的。庭は広くない代わりにアプローチや小さな裏庭にも植栽を施し、いろいろな場所で葉の表情や四季の変化が楽しめる。
このようにI邸では開放感を実現しつつ、一方で、天井高を抑えたダイニング、リビングの片隅のワークスペースなど、落ち着きのある"溜まり"も設置。それはくつろぎたいとき、一人になりたいとき引き寄せられる"場所"。すこやかに暮らせて居心地よく、家族が長く付き合える住まいだ。

F.2面の窓が外の風景を取り込むダイニング。妻の希望で天井高を抑えて目線を低くし、杉板張りにして落ち着く雰囲気。「家は高い、広い、明るい場所だけでなく、低い、狭い、暗い場所があると逃げ場があるというのか、くつろげると思います」と加藤さん。キッチンはダイニングとオープンにつながり、視界も動線もいい
G.リビングの一角には、家族で使うワークスペースが。もっか長女の宿題デスクであり、次女がお絵描きし、夫妻がパソコンを使うなど多目的に活躍。「近頃の住宅では、パソコンの設置場所は必須。リビングにつくれば家族で重宝すると思います」(加藤さん)
H.トップライトからの光は、子ども室、階下のピアノスペース、リビング、ダイニング、和室にもよく回る。和室は閉じると小さな落ち着き空間に、また引き戸を開けると家の中がひとつながりになり、ここもまた風の通り道になる
J.2階子ども室は、将来ベッドなどを置く計画があるが、今は遊び空間。吹き抜けのトップライトからの光が入り、明るさ十分

data
  • 敷地面積/168.10㎡(50.94坪)
  • 建築面積/120.22㎡(36.43坪)
  • 1階/72.60㎡(22.00坪)
  • 2階/47.62㎡(14.43坪)
  • 用途地域/第1種低層住居専用地域
  • 建ぺい率/50%
  • 容積率/80%
  • 構造/木造軸組工法
  • 竣工/2008年6月
  • MATERIAL
  • ●外部仕上げ
  • 屋根/ガルバリウム鋼板縦ハゼ葺き
  • 外壁/ウエスタンレッドシダー縦張り+
    木材保護塗料塗り
  • ●内部仕上げ
  • 1階
  • 床/サワラ無垢フローリング
  • 壁/珪藻土塗り(和室・和紙貼り)
  • 天井/和紙貼り(ダイニング:杉板張り)
  • 2階
  • 床/サワラ無垢フローリング
  • 壁/和紙貼り(浴室:サワラ板張り)
  • 天井/和紙貼り(浴室:サワラ板張り)
  • INSTRUMENTS
  • 厨房機器/オリジナル
  • 衛生機器/TOTO、INAX
  • 窓-サッシ/オリジナル、YKK AP
  • 設計/加藤武志(加藤武志建築設計室)
  • 〒272-0035 千葉県市川市薪田5-3-3
  • TEL:047-322-2132
  • 施工/光正工務店
  • TEL:044-934-3736

これらのコンテンツは、
扶桑社「住まいの設計」2010年1月号
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著作権について

このページに記載されている記事本文、写真等は扶桑社「住まいの設計」2010年1月号より転載しています。

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