


「普段はあまりやらないんだけどね」と照れながらも、ちょっと楽しそうにキッチンに立つ夫。フライパンでチキンを焼く姿はけっこう様になっている。
存在感のあるステンレス製キッチンは、夫が気に入って購入を決めた。「ピカピカした面材がきれいで、キッチンというより家具のよう。重厚さもあり、生活感がないところがいい」と、熱く語る。
S邸は中庭を取り囲むように各室を配したコートハウス。ダイニングキッチンは2階西側に配された縦長の空間で、設計を担当した上垣内(うえがいと)伸一さんは、この空間に合わせて大きなアイランドカウンターとテーブルをつなげて配置。「生活感を排除したいというご要望だったので、冷蔵庫や食器棚などは鏡張りの収納の中に納めました」と、上垣内さん。当初は収納扉の大きな鏡に戸惑ったという妻だが、「住んでみると気にならないし、中にすべてしまえるのでキッチンがすっきりしていいですね。朝の忙しい時間帯などは、扉をフルオープンにして使っています」。
このDKは屋外のデッキテラスと連続させることで、奥行き感も強調。外でくつろげてリゾートホテルのような非日常感を味わえる、贅沢な空間に仕上がった。

左/窓を開けるとテラスと連続する2階DKは、縦長の空間に合わせてアイランドカウンターとテーブルを横につなげたスタイル。背後の収納扉が鏡張りのため広がりも感じられる。手前のステンレスのダイニングテーブルもモダンなシャンデリアも、システムキッチンと同じトーヨーキッチン&リビング製
右/作業スペースも広く、2人でも余裕で調理ができる。「主人はギョーザが得意なんですよ」(妻)

中庭側は全面ガラスのため開放的。「雨が降っているのを眺めながら食事をするのも、ちょっと不思議で楽しいですよ」(妻)

上/今日のメニューはチキンのハーブ焼きとオニオンスープ。「なかなかいい味だな」と、夫も満足げだ
下/シンクはアイランドに、コンロは壁側に配置

A. 雨に濡れてもOKの屋外ソファセットが置かれたデッキテラスは、心地よい風を感じながらゆったりくつろぐことができる、贅沢な空間。日差しは手動のオーニングでコントロール B. テラスにはハンモックも設置され、昼寝にも最適。「夕食のあと、夫がハンモックで寝ているのに気づかずに鍵を閉めてしまい、大騒ぎになったことも」(妻) C. 南西の角地に建つS邸。奥に見えるのは弟世帯の住まいで、建物上部のスリット窓で統一感を出している D. モミジが植えられた中庭と、ガラスで仕切られた開放的な1階リビング E. 中庭から空を見上げる。閉じられた印象の外観からは想像できないダイナミックな眺めだ

A. DKと連続する中2階のリビング。キッチンやダイニングからもテレビを見られるようになっている
B. 中庭に面した1階リビング。開放的でありながら、正面の駐車場のシャッターを閉めれば、完全にプライバシーが守られた空間となる。ミニバーも備えており、ホームシアターを楽しんだりトレーニングマシンで汗を流したりと、多忙な夫の息抜きの場だ
生まれ育った家を建て替えることになったSさんは、南北に長い敷地に弟世帯の住まいも同時に計画。高さ2mの既存のRCの塀を生かし、弟世帯とも適度な距離感を保ちつつ、開放的でプライバシーの守られた住まいを要望した。
そこで上垣内さんは、外部に対しては閉じ、内側は中庭に向かって開放したプランを採用。上部にスリット状の開口部しかない外観と、シンボルツリーのモミジが植えられた中庭を中心に大らかにつながる内部空間とのギャップに驚かされる。中庭に面した1階にはホームシアターやトレーニングマシンを設置したリビングとモダンな和室を配置。不動産業を営む夫のオフィスも配され、職住近接のライフスタイルも実現した。
ガラス越しに弟世帯を望む玄関ホールを抜けて階段を上ると、中2階のリビングと連続するDKが。中庭を囲むようにテラスや寝室などが配置され、2つの子ども室はテラスの南側に、物干しを兼ねる明かり取りのバルコニーをはさんで連続的に配されている。
「大好きなシルバーと白で構成された空間が実現。全体的にすっきりとした雰囲気が気に入っています」(夫)と、理想のスタイリッシュな住まいが実現したようだ。

C. ガラス越しに弟世帯を望む玄関ホール。2棟の間に置かれたキャンピングカー「エアストリーム」がほどよいついたて代わりに
D. 収納扉を開けると、冷蔵庫、炊飯器、スライド式の食器棚、パソコンデスクなどが現れる
E. 硬質でクールなキッチン面材、鏡面仕上げのバーハンドルも印象的だ
F. 料理をしながら家族と会話ができ、中2階のリビング壁面のテレビも見られるDK。背後の大きな鏡も特徴