


新築ででき上がったその瞬間から、 本当の意味で徐々に完成への道のり をたどる家がある。それは暮らす人 の色に馴染み、ともに年を重ねて風 合いを増していくような家。床や壁 の傷ひとつひとつが思い出や生活の 証に結びつく、そんな年の取り方を した住まい…。横浜の住宅街に建つ Yさんの家は、まさにそんな家だ。 竣工が1999年というから、築後 すでに10年が経過している。中に入 ると、建物特有のよそよそしい感じ はすでにまったくなく、隅々まで人 の手が触れた温かみを放っている。 「たとえば床。僕たちが普段通ると ころって案外決まっているようで、 そこだけ床板が白くなってるんで す。本当の木だから現れるこういう 変化がいとおしいですね」と建主の Yさん。珪藻土塗りの壁やアメリカ の古材を柱・梁に使い、アーリーア メリカンな雰囲気を醸すこの家は、 Yさん夫妻が家づくりを検討し始め たときに見た雑誌で一目見て気に入 った建築家、大浦比呂志さんの設計 によるもの。 Yさんは言う。「基本的な設計は すぐに決まったんですが、現場が始 まると、いろいろ手直しをお願いし ましたね。窓際の飾り棚の奥行きや、 ダイニングとリビングの段差の高さ …。寝室の腰壁の高さや張ってもら う木の幅にもずいぶん悩みました。 でも、隅々まで好みが反映されたこ の家は、まさに僕の分身です」。

オールドウッドの柱と梁はアメリカ の古い学校や教会で使われていたも の。「装飾としてだけでなく、実際 にこの家でも構造になるということ で、当初はちょっと不安もあったけ ど、実は釘も打てないほど堅くてし っかりしているんですよ」とYさん

キッチンはすべて大浦さんのオリジナル。
アーリーアメリカン調の扉がワークトップのタイルと
絶妙にマッチング

築後10年が経って味わいを増したテラコッタの床に
イームズのチェアが映える
築後10年でも未完!?
建主の嗜好に合わせて変わり続ける家
細部までこだわって家づくりを行
ったそのわけは、今のYさんの暮ら
し方を見れば納得がいく。何しろ家
中の隅々までアメリカのちょっとア
ンティークな雰囲気の雑貨が飾られ
ている。いわば家全体がYさんにと
ってコレクターズルームなのだ。
「以前はマンション暮らしだったの
で、飾る場所も限られていましたか
ら、雑貨はこれほど多くなかった。
それが家を建てることになって、飾
る場所が増えたもんだから、もう大
変! 一時は商売にしようかと考え
たくらい、爆発的にコレクションが
増えていきました」(Yさん)
もともとこうしたアメリカ雑貨が
好きだったYさんだから、ナチュラ
ルな雰囲気の作風を持つ大浦さんの
設計に惚れ込んだというわけだ。大
浦さんは言う。「Yさんの場合、家
全体がコレクションルームですから
コンセプトは明確でブレないし、現
場でのちょっとした変更もすべてが
家をよくする方向性だったので、僕
も大乗り気で臨みました。Yさんが
家づくりをとても楽しんでいる様子
が印象的で、僕もそんなYさんに触
発されて楽しい現場でした」。
家中に飾ってあるもの以外にも、
飾りきれない雑貨を予備室にしまっ
てあるそうで、時々それらを出して、
ディスプレイを替えるのが楽しみだ
というYさん。そうした模様替えも
含めて、Yさんの家は完成に向けて
豊かに変わり続けていくのだ。
![]() |
![]() |
![]() |
家中にコレクションをディスプレイしているYさんの場合、寝室だ ってその例外ではない。時計などの小物がヘッドボード上の出窓に 飾られ、ナイトテーブルにあるマグカップもファイヤーキングだ |
窓の下にもオールドウッドがあしら われて雑貨が自然に飾れるようになって いる。家のそこかしこにこんな場所が |
雑貨を上手に 配置すれば、洗面所も 上質な空間に早変わり |
細部までこだわって家づくりを行 ったそのわけは、今のYさんの暮ら し方を見れば納得がいく。何しろ家 中の隅々までアメリカのちょっとア ンティークな雰囲気の雑貨が飾られ ている。いわば家全体がYさんにと ってコレクターズルームなのだ。 「以前はマンション暮らしだったの で、飾る場所も限られていましたか ら、雑貨はこれほど多くなかった。 それが家を建てることになって、飾 る場所が増えたもんだから、もう大 変! 一時は商売にしようかと考え たくらい、爆発的にコレクションが 増えていきました」(Yさん) もともとこうしたアメリカ雑貨が 好きだったYさんだから、ナチュラ ルな雰囲気の作風を持つ大浦さんの 設計に惚れ込んだというわけだ。大 浦さんは言う。「Yさんの場合、家 全体がコレクションルームですから コンセプトは明確でブレないし、現 場でのちょっとした変更もすべてが 家をよくする方向性だったので、僕 も大乗り気で臨みました。Yさんが 家づくりをとても楽しんでいる様子 が印象的で、僕もそんなYさんに触 発されて楽しい現場でした」。 家中に飾ってあるもの以外にも、 飾りきれない雑貨を予備室にしまっ てあるそうで、時々それらを出して、 ディスプレイを替えるのが楽しみだ というYさん。そうした模様替えも 含めて、Yさんの家は完成に向けて 豊かに変わり続けていくのだ。
