


今回は、「ライフプランを考えよう~子育てにまつわるお金の話~」をお送りする予定でしたが、読者の方からHPへご相談いただいた事例についてお答えいたします。
相談者:結婚35年 既婚女性(子供2人)
今回、贈与税の配偶者控除(居住用不動産)の適用を検討しています。
夫は、上記のほか賃貸物件を数棟所有しており、現在は退職年金・賃料収入などで生活をしています。
結婚以来35年夫に協力してきたので、銀行の抵当権がなくなったことをきっかけに、贈与税の配偶者控除を利用して、1棟を妻名義にしたいと思っています。
贈与税の配偶者控除の特例は、婚姻期間が20年以上である配偶者から居住用不動産または居住用不動産を購入するための金銭の贈与を受けた場合、贈与税の課税価格から2000万円を控除できる制度です。
長く連れ添った配偶者に対して内助の功と生活保障の観点から認められているものなので、この場合の居住用不動産とは、贈与を受けた配偶者が住むための国内の家屋又はその家屋の敷地であることが条件です。したがって、今回の事例では2階の専用住宅部分のみが対象となります。
なお、専用住宅部分がおおむね90%以上の場合には、全て居住用不動産として扱うことができます。
贈与税の配偶者控除の詳細な要件等は、バックナンバーを参照してください。
http://www.sumaino-hiroba.com/money/200912_index.html
質問①でもお答えしたように、贈与税の配偶者控除の特例は、自己の居住用不動産が対象のため、今回の事例のように共同住宅や店舗として使用している部分は、配偶者控除の対象となりません。土地についても、専用住宅部分の床面積割合を使って、全体の敷地のうち、配偶者控除の対象となる自己の居住用部分を区分して土地面積を計算する必要があります。
自宅のある土地・建物1棟全てを妻名義に変更する場合、自己の居住用部分については贈与税の配偶者控除を適用することによって贈与税額はゼロとなります。
☆自己の居住用部分の贈与
土地・建物のうち、どちらも50%が自己の居住用部分であるとして計算した場合、
600万円×50%+900万円×50%=750万円 < 2000万円
→贈与税の配偶者控除適用で贈与税額ゼロ
今回の場合、土地については「貸家建付地」、建物については「貸家」として相続税評価額を基に、贈与税が課税されます。この場合の評価額は、借地権・借家権として賃借人の権利が存在する分、自用地・自用家屋としての評価額より低くなります。
ご相談事例の場合も、自己の居住用部分の評価額よりは小さくなりますが、贈与税の基礎控除額110万円は超えると思われますので、贈与税の負担は発生します。
仮に、共同住宅部分の土地・建物の相続税評価額が550万円であった場合の贈与税額は、
(550万円-110万円)×30%-65万円=67万円 となります。
贈与税は贈与額が大きいほど税負担が重くなるので、一度に1人に贈与すると贈与税額が高くなります。税負担を軽くする方法としては、数年にわたって贈与を実施する、お子様を含め贈与を受ける人数を増やす、という選択肢もあるでしょう。
ご相談内容では、夫に相続が発生した場合の財産額は不明ですが、相続の場合、小規模宅地等の特例の適用ができること、基礎控除が8000万円あること、税率が贈与税より低いこと、配偶者の税額軽減の適用ができることを考えると、相続による名義移転のほうが、税負担は軽くなると思われます。
また、名義変更にかかる登記費用については、登録免許税、不動産取得税、司法書士報酬などがありますが、相続の場合には不動産取得税が非課税なので、この点でも相続による移転が有利です。
以上、ご質問いただいた内容にお答えしましたが、いかがでしたでしょうか?
近年、夫の退職などを機に、このようなケースを含めリタイアメントプランを考えるご夫婦は増えてきています。ただし、不動産の名義変更など税金が発生する場合は専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
これからも皆様からのご質問があれば、随時コラムにてお答えしていきますので、どんどんご相談を寄せて下さい。
次回は、「ライフプランを考えよう~子育てにまつわるお金の話~」をお送りします。
【参考(国税庁HP)】
○貸家建付地の評価
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4614.htm
○貸家の評価
http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4602_qa.htm
○小規模宅地等の特例
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4608.htm
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