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国の経済危機対策のなかで、前回の住宅ローン控除の拡大とともに注目したいのが、今年6月に新たに創設された贈与税の非課税枠です。

これは、住宅の新築・購入・増改築のため、親や祖父母から資金援助をうけた場合、一定の要件を満たす場合には、その住宅取得等資金のうち500万円までは贈与税が非課税になるという制度です。

【500万円の非課税枠 適用のポイント】

もらう人
(受贈者)
20歳以上
あげる人
(贈与者)
直系尊属(親・祖父母・曽祖父母)、年齢制限無し
もらうもの
(贈与財産)
居住用家屋取得のためのお金
対象となる家屋については、床面積50㎡以上等の条件あり
時期 平成21年1月1日から平成22年12月31日までの贈与
非課税枠 2年間で通算して、最高500万円まで
居住要件 贈与を受けた翌年の3月15日までに家屋の引渡しを受け、遅くとも年末までに引越しをしていること
申告要件 翌年2月1日から3月15日までに贈与税の申告が必要

 

この新設の非課税枠は、従来の非課税枠と併用できるので、「暦年課税」の場合は、基礎控除110万円と併用して、610万円まで贈与税がかからないことになります。通常、610万円の贈与を受けた場合、85万円の贈与税がかかりますから、上手に活用すれば、かなりお得な制度といえます。

また、「相続時精算課税」を適用する場合には、既存の住宅取得等資金にかかる3500万円の非課税枠と併せて合計4000万円まで、贈与時には課税されないことになります。

暦年課税と相続時精算課税、どちらを選択すれば良いのか?と迷うところですが、 まず、祖父母からの贈与の場合、相続時精算課税は適用できませんので、自動的に暦年課税になります。また、既に相続時精算課税を選択している贈与者からの贈与の場合には、暦年課税を選択することはできません。

贈与額で区分すると、610万円までの贈与の場合は、暦年課税を選択するほうが良いでしょう。基礎控除と併せると贈与税がかからないですし、基礎控除を将来にわたって利用することができるからです。

610万円を超える場合は、贈与者の死亡時に相続税がかかるかどうかで判断が分かれます。
相続税がかからなさそうな場合は、相続時精算課税を選択すると有利な場合が多いでしょう。相続税がかかりそうな場合には、個別に慎重な検討が必要ですので、税理士等の専門家に相談したほうが賢明です。

相続税の納税が必要な人は、全体の5%未満なので、相続時精算課税を使ったほうが有利な場合が多いかもしれません。相続税がかかるかどうかは、相続財産が下記の相続税の基礎控除額より多いかどうかで、おおよその判断はできるでしょう。

相続税の基礎控除額 = 5000万円 + 1000万円×法定相続人の数

 

ただし、相続時精算課税は、一旦選択すると暦年課税に戻すことができなくなり、その贈与者からの贈与については、基礎控除が使えなくなってしまいますので、注意が必要です。

なお、住宅取得等資金にかかる相続時精算課税は、平成21年末で終了しますが、非課税枠2500万円の原則の制度は、継続して利用できますので、平成22年中の贈与の場合、新設の非課税枠と相続時精算課税の原則を併せると、500万円+2500万円の3000万円まで、贈与時には課税されません。

また、この500万円の非課税枠は、暦年課税、相続時精算課税のいずれを選択している場合でも、相続発生時に相続財産に加算されませんので、相続財産が多い場合には、大きなメリットとなります。

【その他の注意点】

  • 受贈者あたり500万円の非課税枠ですから、父から500万円、祖父からも500万円の贈与を受けた場合、新設の非課税枠は500万円分しか使えません。
  • 平成21年に500万円、22年にも500万円の贈与を受けた場合でも、非課税枠は2年間の通算で500万円分しか使えません。
  • 金銭の贈与が対象なので、住宅そのものの贈与は対象外です。

前回の住宅ローン控除の拡大については、メリットを受けられる人は限定的でしたが、今回の贈与税の非課税枠新設については、資金援助を受ける予定がある人は、多くの場合メリットを受けることができるでしょう。

リクルートの調査では、住宅購入者のうち約3割が、親などからの贈与を受けており、贈与額は、平均700万円台という結果が出ています(リクルート住宅総研 首都圏一戸建て契約者動向調査 2006年)。おなじ援助をしてもらうのであれば、この新設の非課税枠を上手に使って、浮いた贈与税や利息分で親孝行するというのもひとつの考えでしょう。

次回は、寄せられたご相談をもとに、「マイホームの買換え」について考えてみたいと思います。

【参考】

○住宅取得等資金の贈与税の非課税のあらまし(国税庁)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/sozoku-zoyo/8102/pdf/01.pdf

○贈与税の暦年課税と相続税精算課税の比較

  暦年課税 相続時精算課税
原則 住宅取得等資金に係る特例
受贈者 制限なし 20歳以上の子である推定相続人
贈与者 制限なし
(祖父母もOK)
65歳以上の親
(年齢制限無し)
非課税になる枠 毎年110万円 累計2500万円 累計3500万円
相続時に、他の相続財産と合算して精算する
税率 10~50%の超過累進課税 非課税枠を超える分について、一律20%
贈与財産 換金価値のあるものすべて 住宅取得等資金に限る
その他   一旦適用すると、同じ贈与者からの贈与については、暦年課税に戻れない
  平成21年末までの時限措置

 

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