今回の連載にあたり、まずは簡単な自己紹介と、ご挨拶をさせていただきたいと思います。まず、医師である私、小池茂文は、循環器を専門とした心臓外科医として、数多くの心臓の手術を行ってきました。
現在は心臓外科から一転し、睡眠医療の専門医師として、睡眠時無呼吸症候群や、不眠症の方々の治療を行っています。
昨今、睡眠に関する話題が、メディアによく取りあげられていますが、実際に睡眠医療の現場に身を置く者として、実に多くの方々が、睡眠に何らかの問題を抱えていることを痛感しています。人それぞれベストな睡眠時間は違いますが、日本の国民の約2 割の方が眠れないと感じ、4割近くの方が寝つきの悪さを、半数以上の方が朝まで熟睡できないと感じているというデータもあります。
睡眠は食事と同じように、生命を維持し、健康的な毎日を過ごすために欠かせないものです。しかし、その睡眠がいま、十分に取れていない方が多いのです。良い睡眠が得られない原因には、さまざまなことが考えられますが、医師として感じることは、睡眠に適さない寝室環境が非常に多いということです。騒がしい場所であったり、室温が高すぎたり低すぎたり、また、空気の環境が悪かったり、そんな環境を改善しなければ、医師としても良い睡眠を得ていただくことは難しいと、常々感じています。
また、みなさん意外に思われるかもしれませんが、質の良い睡眠を得るためには、朝の目覚め方や、一日の過ごし方も大きく係わってくるのです。ですから、寝室の環境だけではなく、朝目覚めたときの室内環境や、眠るまでの時間を過ごす住まいの環境も軽視はできません。
患者さんからも、家の新築やリフォームがきっかけで、眠れなくなってしまったという話をよく聞きます。眠る環境、また、良い睡眠を得るための住まいという環境をどうつくるか、その環境づくりに私たちがどう取り組むかが大事なのだという思いを日々強くしていました。
睡眠の専門医師として、投薬や医療機器による治療だけではなく、住まい全体をコーディネートする必要もあると考え、同じ思いを抱く実弟の間取り研究家、小池康壽とともに、この連載をスタートさせていただくことになりました。質の良い睡眠を得られる住まい、健康的に暮らせる住まいを、医師の目から積極的にアドバイスさせていただきたいと思っております。
睡眠専門医師 小池茂文





