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眠れないときは無理に眠ろうとするな!

* 「ハウスサーカディアン」は商標登録されています。

人が眠るためには、暗く、静かで、温度や湿度が一定であるなど、寝室内の環境が整うことが大切です。医師である兄とともに、睡眠環境について研究する立場から、また、この連載を通じて、「眠れる住まい」の大切さをみなさんにお伝えしている立場から、私自身も睡眠環境に関してはこだわるようにしています。まずは私自身が、質のよい睡眠を得て暮らしていかなければいけませんからね。

ですが、そんな私でも、なかなか眠りにつけないときがあります。寝室の環境が変わったわけでもなく、体調が悪いというわけでもないのですが、いつものように、すんなりと眠りにつくことができないのです。たとえば、本の原稿などを書いていて、いつもより就寝時間が遅くなったとき。また、講演会などで、明朝はいつもより早く起きなければならないときなどは、どうも眠れなくなってしまいます。

みなさんも同じような経験があることと思います。レジャーや旅行に出かける前夜、大事な会議や試験の前夜など、早く眠らなければと思っているのに、一向に眠くならないことってありますよね。

睡眠を専門とする兄にこういった話をすると、「眠れないときは無理に眠ろうとするな」と言います。旅行などの前夜は、期待や嬉しさで気持ちが高まりますし、翌日に試験などが控えていれば、緊張や不安でいっぱいになりますね。そういったいつもと違う精神状態が、就寝のリズムを乱してしまうのでしょう。また、眠ろうと思えば思うほど、それに反して脳が覚醒してしまうこともよくあるといいます。

こんなときは、無理に眠ろうとしないほうがよいのです。質のよい睡眠を得るためには、毎日ほぼ一定の時刻に就寝することも大切ですが、寝付けないときは仕方がありません。

もちろん、それが毎晩のことであれば、きちんと原因を探さなければいけませんし、睡眠障害を疑ってみる必要もあるでしょう。ですが、興奮や緊張などで眠れないときは、無理に眠ろうとせず、いったん布団から出てみるのもよいことです。

私もなかなか眠りにつけないときは、一度起きるようにしています。そして、小さな音で音楽をかけたり、マッサージ機に座ってマッサージをしたりして、気持ちをリラックスさせるようにしています。そのうちに眠気を催して、布団に戻ることもあれば、気付かないうちにマッサージ機で眠ってしまうこともあります。一度起きてみることで、「眠ろう、眠らなければ」と思う気持ちがリセットされて、逆に眠りにつきやすくなるのでしょう。また、就寝時間になっても眠くないときは、あえて布団に入らず、眠くなってから布団に入るほうがよいとも兄は言っています。

睡眠をとるための環境はもちろん大切ですが、環境を整えても、それだけでよく眠れるわけではなく、睡眠には精神的なものが強く作用するものです。暗いとかえって目が冴えてしまったり、静かすぎると逆に眠れなくなってしまうこともありますよね。


みなさんも、テレビをつけて布団に入り、そのままつい眠ってしまうことがあると思います。テレビをつけるということは、暗く、静かにという眠るための条件を、わざわざ壊しているようなものですが、テレビを見ようという気持ち、つまり最初から眠ろうとしないこの気持ちが、心身をリラックスさせ、眠りへと誘導しているのでしょう。

ですから、今日はちょっと寝付けそうにないと思うときには、小さな音量でテレビをつけたり、オーディオをかけてみたりするのも方法かもしれません。もちろん、タイマーで切れるようにしておいて、後は静かに眠れるようにしておくことが大事ですが。

また、眠れないときの対処法として、お酒を飲むという話もよく聞きますね。特に、私たち日本人には、眠れないときにお酒を飲む人が多いのだそうです。しかし、兄が言うには、これは間違った考え方で、お酒を飲んでよく眠れたとしても、質のよい睡眠は取れていないのだそうです。朝、すっきりと目覚められてこそ、質のよい睡眠を取れたといえるのですから、酔いが残るようでは逆効果。健康にもよくはありませんからね。

毎晩、ほぼ同じ時刻に、自然と眠りにつくことができれば、それはとても望ましいことです。そして、そのために睡眠環境を整えることも大切です。ただ、時には、気持ちが高ぶって興奮したり、不安や緊張で眠れないこともあります。そんなときは無理に眠ろうとしない。これも、質の良い睡眠を得るための秘訣だと考えてください。


眠れなかった翌日は寝不足になりますが、これはつまり、その日の夜はそれだけ眠りやすくなるということでもあります。兄によれば、寝不足で昼間どうしても眠いときは、昼過ぎから午後4時頃までに、10~20分ぐらいの短めの昼寝をして、たまった眠気を夜まで持たせるようにするとよいのだそうです。昼寝はあくまでも短めにして、せっかくたまった眠気を無駄遣いしないことがポイントですね。

次回は、「完成した住まいでもあきらめるな」をお話しいたします。

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