この連載も、今回で11話となりました。これまでお読みいただいた皆さんには、体内時計を安定させることの大切さ、また、体内時計を安定させて健康的に生活する方法が、段々とおわかりいただけたことと思います。

今回は、「サーカディアンライフ 眠れるライフスタイル」の「夜編」です。質の良い睡眠を得るためには、前回お話をしたように、朝昼はできるだけ自然光に接し、体を目覚めさせることがポイントですが、夕刻から就寝までの間の過ごし方にも、大切なポイントがあるのです。
朝目覚めたら、住まいの中で最も明るい場所で朝食をとったり、庭やベランダに出て軽い体操をしたりすることで、脳内にしっかりとセロトニンがつくられ、脳や体が覚醒することはお話をしましたね。そして、その15~16時間後には、今度は眠りのホルモンであるメラトニンの働きにより、私たちの脳と体は眠りへと誘われます。たとえば、朝7時に目覚めたとすると、22時から23時ごろには眠くなるというリズムが、私たちの脳と体にはセットされているわけです。
メラトニンの働きで眠くなるのは、起床から15~16時間後ですが、メラトニンの分泌は、夕刻から暗くなるにしたがって進み、眠るための準備は徐々に整えられていきます。このときに注意していただきたい点がひとつ。それは、眠りへの準備段階であるこの時間帯には、強い光を浴び過ぎないようにしていただきたいのです。強い光を浴び過ぎてしまうことで、脳が朝だと勘違いして、本来分泌されるべきメラトニンではなく、セロトニンを分泌してしまうからです。その結果、体がもう一度目覚めてしまい、眠るきっかけをつかめなくなってしまいます。


リズムを崩すことなく、気持ちよく眠りにつくためには、日が落ちて暗くなったら、室内の照明も徐々に明るさを落としていくことが望ましいのです。以前もお話をしましたが、眠りにつくまでの間を過ごす部屋の照明は、光の強弱を操作できる調光機能つきのものを採用するのが理想的です。
夕食がすんでからは、リビングなどの照明も少し明るさを落とし、ゆったりと過ごされるとよいでしょう。また、お風呂に入って体を温め、一日の疲れをとることも大切です。最近は、浴室にテレビやスチームサウナなどを取り付けることもできますから、新築時には、一日の疲れを癒すバスタイムにこれらを活用されてみてもよいですね。
照明の強い光が、眠りにつくのを妨げることからもわかるように、質の良い眠りを得るためには、基本的には真っ暗な環境が適しています。私たちが推奨するサーカディアンカーテン、サーカディアンシャッター、サーカディアンブラインドなども、目覚めのためだけのアイテムではなく、外の光や音を遮断して、眠りに適した環境をつくることも目的としています。ですが、真っ暗な環境がよいとばかりは言えない場合もあるのです。そのことについても、少しお話をしておきましょう。

「夜中によく目が覚める」とか、「よく眠れない」と訴える年代には、ある特徴があります。それは、就寝中にトイレに起きる方が多いことです。
年齢を重ねるとともにトイレが近くなる方は多いですが、夜中にトイレに起きることが原因で、眠りを妨げられるケースも少なくありません。そして、このトイレに起きたときに、部屋が真っ暗な状態であると、ベッドの角で足をぶつけたり、転倒して怪我をしてしまうこともあります。質の良い睡眠を得るための暗さが、逆に災いを起こしてしまうこともあるのです。
質の良い睡眠が得られない方の中には、このように、ただ単に眠れないのではなく、トイレなどで目覚めてしまう方が多いのも現実です。ですから、そのような場合には、安全にトイレを済ませ、ベッドに戻ってからも、無理なく眠りにつけるようにしなければなりません。
まず、安全にトイレに行くためには、ベッドの足元や部屋のドア近くの壁、トイレまでの廊下などに、フットライトを取り付けるとよいでしょう。フットライトは足元の低い位置を照らすものですし、明るさも強くはないので、光の刺激で覚醒してしまう心配もまずありません。コンセントに差し込んで使えるタイプもありますから、既存の住まいでも対応できますね。

そして、トイレに行った後、もう一度眠りにつくために大切なのが、トイレの照明です。トイレの照明にまでは、なかなか気が回らないというのが現状でしょうが、トイレの照明こそ、夜間は減光できるものを採用していただきたいと思うのです。トイレに起きて眠りを妨げられる場合には、トイレの照明の明るい光が刺激となって、目覚めてしまうケースも多いのです。ですから、トイレの照明を選ぶ際には、ぜひこのようなことも心に留めておいていただきたいと思います。
毎日気持ちよく目覚め、気持ちよく眠りにつくためには、セロトニンやメラトニンをきちんと分泌させることが大切です。そのポイントは、「朝は明るく、夜は暗めに」。 「眠れるライフスタイル」のポイントも、まさにこれですね。一人でも多くの方が、「眠れるライフスタイル」を送っていただけたら嬉しく思います。

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