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睡眠ができない住まい こんな病気になりやすくなる

* 「ハウスサーカディアン」は商標登録されています。

ここ最近は、テレビをはじめとするメディアでも、睡眠の話題が大変多くなっていると感じます。それは、睡眠が十分に取れない人が多いことの、ひとつの表れでもあるでしょう。

そして、現在医学界でも、睡眠とさまざまな病気との関連性が指摘されています。睡眠に異常があることで病気になってしまう場合や、病気になったことで、睡眠が上手に取れなくなる場合もあります。

たとえば、アトピー性皮膚炎など、寝ているときにもかゆみを覚えるような症例では、当然 質の良い睡眠が得られなくなります。そして、質の良い睡眠が得られなくなったことで、アトピー性皮膚炎の回復を遅らせてしまうことにもなりかねません。

また、仕事が忙しいなど、ストレスが多い状況が続くことで睡眠が不足すると、心身の疲れが取れず、気分も落ち込み、うつ状態やうつ病に移行する場合も少なくありません。

うつ病を発症することで、睡眠状況が悪化することも多く、睡眠は心の病気とも密接な係わりを持っています。さらに、うつ病が進行すると、部屋の中に引きこもってしまい、太陽と接することを拒むようにもなり、朝日と向き合うことも少なくなりがちです。私たちが提唱する「ハウスサーカディアン」が目指す生活提案とは、真逆の生活をするようになってしまう場合もあります。

話は変わりますが、昔から、テレビ番組の時代劇や刑事番組では、犯罪者や犯人に自白を求める際、眠らせないようにするシーンをよく見ます。動物実験でも、食べ物を与えないより眠らせないことのほうが、大きなストレスになることがわかっています。眠らせないこと(断眠)は、動物や人間の心身にかなりのダメージを与えます。それは拷問にも匹敵するものでしょう。

それほど重要な睡眠ですから、よく眠れない状況が続けば、さまざまな病気の引き金になってしまいます。現在、睡眠障害(不眠症)や睡眠時無呼吸症候群との関連が指摘されている病気には、以下のものがあります。

心疾患(狭心症、心不全)、逆流性食道炎、脳血管障害、パーキンソン病、うつ病、神経症、統合失調症、精神疾患、糖尿病、高血圧、肥満、高脂血症、認知症(アルツハイマー)など。

平成21年9月25日、有名な雑誌『サイエンス』で発表されたワシントン大学とスタンフォード大学の研究で、物忘れがひどくなるアルツハイマー病の原因として指摘されているアミロイドベータという異常たんぱく質が、睡眠不足で増加し、十分な睡眠で減少することが認められました。これは、十分な良い睡眠を取れば、アルツハイマー病の発症を遅らせることが出来る可能性を示し、逆に睡眠不足がアルツハイマー病をひきおこす可能性を指摘しています。

また、現在、私の病院では、子供の睡眠障害を数多く診察していますが、子供の場合はまさに、「寝る子は育つ」ということわざどおり、眠れないことは成長ホルモンの分泌に大きく影響します。低身長や低体重の原因となるだけでなく、脳の発育にも大きな影響を与えていることがわかります。障害児の症状の一つに、睡眠障害が大きなウエイトを示していることからもわかるように、発育と睡眠は切っても切れない関係にあります。眠りの浅い(悪い)子供さんは、早期に専門医に検診を受けていただきたいものです。

睡眠の不足は病気の発症を促し、病気が発病することで、質の良い睡眠が得られなくなる悪循環をもたらします。良い睡眠が得られれば、病気にならないとまでは言い切れませんが、病気になりにくい体質になることでしょう。そして、質の良い睡眠が得られれば、病気も治る可能性が高まり、治りやすい環境づくりになることは間違いありません。

睡眠は、ただ単に長く眠ることだけでなく、質のよい睡眠をとることが重要になります。病気のために十分な眠りが得られないとしたら、たとえ短時間でも、質の良い睡眠が得られるように考えることが大切になってきます。十分な睡眠と質の良い睡眠を確実に確保するためにも、睡眠環境(寝室づくり、住まいづくり)が急務です。

眠れない場合の基本は、睡眠薬などの専門的な治療だけではなく、睡眠衛生や睡眠環境の見直しも重要です。睡眠衛生としては、寝る前にやってはいけないこと、寝るためにやっておいた方が良いことを知るべきです。たとえば、寝る前に熱いお風呂に入らない。夕方以降にコーヒーを飲まない。寝る前のパソコンや、明るい部屋での仕事を控えるなど。睡眠環境としては、まず、眠りの場所の改善を行っていただきたいですね。

「ハウスサーカディアン」の考えは、朝日をうまく住まいに取り込み、朝日によりセロトニンをしっかり分泌させ、体内時計を安定させることです。そして同時に、眠れない要因(音や光、臭い、温度、湿度など)を排除し、質の良い睡眠を得られる住まいづくりを提案しています。

万一病気を患っても、少しでも快方に向かわせてくれるような住まい提案、朝日と自然に接することができるような間取り提案が、多くの方が健康的に暮らすきっかけになればと思っています。

次回は、「サーカディアンライフ、 眠れるライフスタイル」をお話しいたします。

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