
体内時計を安定させ、毎日を健康的に過ごすには、質のよい「眠り」と「目覚め」を得ることが大切です。そして、そのための住まいづくりのポイントとして、朝日を有効的に取り入れる方法などを、これまでお話ししてまいりました。
しかし、体内時計を安定させるには、毎日の生活のリズムである「生活時計」も、きちんと整えることが大切ですね。毎朝同じ時刻に起床し、しっかりと朝日を浴び、朝食もきちんととって一日のスタートを切る。時間に余裕があれば、朝日を浴びながら、軽い体操やウォーキングなどをしてみるのもいいですね。セロトニンがしっかり分泌され、夜も心地よく眠りにつくことができます。せっかく朝日が差す住まいをつくっても、生活時計が乱れていては、その価値も半減してしまいますからね。朝の太陽の光ときちんと接してこそ、ハウスサーカディアンの意義もあるわけです。
ですが、現代に生きる私たちの生活時計は、忙しさやストレスなどから、どうしても乱れがちです。体操やウォーキングをする時間があるなら、そのぶん寝ていたいという方のほうが多いことでしょう。体操やウォーキングは無理でも、朝はきっちり体の時計を合わせておきたいものです。そこで、私がおすすめするのが、明るい光の下で朝食をとることです。
これは、第三話の「有効的に朝日を浴びる住まいとは」の中でもお話をしていますが、朝日の差すダイニングで朝食をとることで、脳がしっかりと目覚めて活性化し、胃や腸の働きも活発になり、一日のスタートを切る準備が整えられるのです。つまり、朝日を浴びながら朝食をとることは、私たちの生活時計を整えるにはとても有効なことなのです。

もちろん、ダイニングに朝日が差せばいうことはないのですが、ダイニングが北側にある住まいやマンションでは、朝日が入りにくい場合も少なくないですね。間取り研究家である私も、自宅は一戸建てですが、東京の住まいはマンションです。今は東南向きの高層階ですので、朝日がさんさんと部屋の中に入ってきますが、以前住んでいたタワーマンションは、北西の角部屋だったため、朝日とはまったく縁がなく、ダイニングも薄暗い状況でした。朝はできるだけ散歩をするようにしていましたが、それも実際には、なかなか難しいものでした。
このように、ダイニングに朝日が入らない、また、ダイニングは窓がなく薄暗いという場合はどうすればよいか。そういう場合は、朝だけダイニングを移動させてしまいましょう。照明で明るくするのも方法ですが、なんといっても自然の光にはかないません。たとえば、朝の光が差す場所にリビングがあるなら、リビングのテーブルを食卓にしてみましょう。また、和室に朝日が入るなら、旅館の朝ご飯気分で食事をするのもよいと思います。
マンションなら、明るい窓際やベランダに小さなテーブルを置いて、朝食コーナーをつくってみてはどうでしょう。前述の私の以前の住まい、朝日がまったく入らないタワーマンションでは、私はベランダに簡単なテーブルとイスを置いて、そこで朝食を食べていました。直射光は差さなくても、照度計で計測してみると、室外はとても明るいのです。明るい場所で、風を感じながら朝食をとるのは、やはり気持ちのいいものですね。心身に活力もわいてくるようです。今のマンションは東南向きで、ダイニングでもしっかり朝日と接することができますが、ベランダにはウッドデッキを敷きこんで、今もベランダで朝のひとときを過ごしています。
戸建ての住まいなら、庭もダイニングとして活用できますね。最近はレストランやカフェなどでも、屋外のテラス席を設けているお店が多いですよね。太陽の光を浴びて食事をすることは、みなさんも経験があると思いますが、とても気分のよいものですね。毎日は大変でも、休日や時間のある朝は、庭にテーブルなどを置いて朝食をとってみてはいかがでしょう。

また、テラスやウッドデッキ、開放できるサンルームなどを設けるのもおすすめです。戸建ての住まいでは、ぜひダイニングは東南の明るい場所につくっていただきたいのですが、予算や敷地に余裕があれば、真夏の直射光は避けつつ、明るい光と風を感じながら食事ができる、第二のダイニングスペースをつくられるのもよいですね。
ダイニングではない場所で朝食をとるのは、手間もかかり面倒なことではありますが、そこは健康維持のため、家族で協力しながら支度や片付けをするのも、悪くないと私は思います。間取りを変更したり、リフォームをしたりしなくても、朝一番明るい場所を、朝だけダイニングとして活用することで、体内時計を安定させる暮らしはできるのです。
もっとも、この連載を読んでくださっている男性陣の中には、「そんなことはしなくても、体内時計はバッチリだ!」という方も多いかもしれませんね。現に私の友人も、「朝起きたらすぐに着替えて家を出て、朝日の中を駅まで歩き、途中のカフェでモーニングを食べる。妻の朝寝坊のおかげで、俺の体内時計はずっとこれで安定してるよ!」と笑いながら言っていましたからね。
次回は…寝る子は育つ 子供の睡眠に関して、いろいろお話します

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