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眠れない住まい

※「ハウスサーカディアン」は商標登録されています。

住まいは私たちにとって、心身ともに安らぐことができ、明日への活力を養える場所であってほしいですね。そのためには、「よく眠れる住まい」であることが大切です。家でぐっすり眠ること。これは、当たり前でごく普通のことであってほしいのですが、現実には、眠れなくて困っている方が実にたくさんみえるのです。

今回は、そんな「眠れない住まい」について、医師と間取り研究家、それぞれの立場からアドバイスをさせていただきます。

「どうもぐっすり眠れない…」と、当クリニックを受診される方の中には、体質や病気で眠れない場合もありますが、住まいの環境が影響して眠れないと考えられるケースも、少なからずあります。たとえば、交通量の多い道路に面していたり、夜間も稼働する工場や、深夜営業している店舗などに近接している場合などは、騒音や光が眠りを妨げていることが多いものです。

このように、夜間でもうるさく明るい場所は、睡眠には適さない環境といえます。また、温度が高すぎたり、低すぎたりする場所、空気の悪い場所も、睡眠する環境としては望ましくありません。これらの住まいの環境が、不眠に影響していると思われる場合には、まずその環境を改善することが、回復への大きなステップとなります。また、これから住まいをつくろうと計画中の方たちにも、私は医師として、住まいの睡眠環境を大切にしていただきたいと強く感じています。

では、「よく眠れる住まい」をつくるためには、具体的にどうすればよいのでしょう。ここからは、医師、小池茂文に替わり、間取り研究家の小池康壽がお話を進めてまいります。

まず、新築の場合なら、寝室を配置する場所をよく考慮しましょう。交通量の多い道路など、睡眠の妨げとなる騒音のもとからは、できるだけ遠い場所に寝室をつくるのがベストです。合わせて、窓ガラスを防音仕様にし、外壁も厚めのものを採用しましょう。窓ガラスの防音対策は、みなさんよく考えられることですが、外壁も厚めのものや防音効果を考慮した外壁にすることで、防音効果は上がるものです。色やデザインだけにとらわれがちな外壁ですが、防音という効果もしっかり考慮したいものですね。

【参考】例えば、リフォームで外壁を重ね張りした場合

※JISA1416実験室における音響透過損失測定方法による外壁部分のみの評価(数値は500Hzの音の場合)
参照サイト  http://www5.mediagalaxy.co.jp/nichiha/wall/reform/kouka.html

住まいの広場「設備・建材コーナー」もご参照ください
http://www.sumaino-hiroba.com/setubikenzai/

さて、住まいの外部の騒音に対しては、窓ガラスや外壁での対策が有効ですが、騒音は住まいの外だけで起きるものではありません。むしろ昨今は、住まいの中で生じる音が、眠りを妨げている場合も多いのです。

最近の住まいは、窓や外壁の性能が向上し、気密性が高く、外部の音を室内に伝えにくくなりました。それ自体はとてもよいことなのですが、逆に家の中の音も外に逃げにくく、室内に音がこもり、響きやすくなっているのです。また、一般の住宅は、家の中の間仕切りは意外に簡易なつくりになっており、音も筒抜けの状態であることがほとんどです。

ですから、寝室が台所と隣接していたり、洗面所と隣接していたりすると、朝食の支度をする音や洗濯機の作動音などで、目を覚まされたりすることがよくあります。トイレの排水の音、階段を上り下りする足音なども、住まいの中では意外に響き、ちょっとした騒音状態になっていることも少なくありません。ドアや仕切りをなくして、住まい全体を一つの空間にしている間取りや、大きな吹き抜けを設けた間取りなどでは、音の影響もそれだけ大きなものとなるでしょう。

また、音源となるものが多いという現代の生活スタイルも、睡眠を妨げる一因になっていると思います。住まいの中ではたくさんの機器や家電製品が作動していますし、特にオール電化の住まいでは、深夜の電気代が大幅に安くなりますから、洗濯機や食器洗い乾燥機を就寝時に利用する家庭も多いはずです。寝入りばなにそれらの音が響いていたら、心地よい眠りにつけないこともありますね。

こういう場合に有効なのが、押入れやクローゼットなどの収納スペースです。たとえば、寝室が台所と隣接している場合には、寝室の台所側の壁面に、押入れやクローゼットを配置します。押入れやクローゼットに扉をつけることで、簡易ではありますが壁が二重になり、中に物を収納することで、台所からの音がダイレクトに伝わるのを防いでくれるのです。

押入れやクローゼットをつくることができなければ、壁面収納タイプの家具を配置してもよいですね。これは、鑑定時などによく提案させていただくのですが、防音には効果を期待できる対策法です。もちろん、新築であれば、隣接する壁自体に、断熱材や防音材を入れておくとよいでしょう。

最後に、2世帯住宅の寝室のつくり方について、ひとつ注意点をあげておきましょう。2世帯住宅では、親世帯の寝室の上に、子世帯の寝室が配置されるケースがよくあります。同じ性質の部屋が上下階にあっても、何もおかしくないだろうと思われるでしょうが、2世帯の場合は、それぞれの世帯の就寝時間が異なることが多いですよね。親世帯の就寝時間が早かったり、子世帯の就寝時間が遅かったりする場合には、やはり、生活音が眠りの妨げになってしまいがちです。このような状況にならざるを得ない場合は、床をフローリングからカーペットにするだけでも、ずいぶん静かになるものです。

以上、今回は、みなさんの住まいを「眠れない住まい」にしてしまわないためのポイントを、いくつかご紹介させていただきました。ただ、睡眠に適した環境をつくるには、防音の対策だけでなく、室内の温度や空気環境を良好に保つことも大切です。そのあたりのことも含めまして、次回は、「質のよい眠りが得られる寝室づくり」について、お話を続けたいと思います。

次回は、「質のよい眠りが得られる寝室づくり」について、お話を続けたいと思います。

〔著作権について〕

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