前回のお話では、私たち人間の心身の健康と「朝日」が大きなかかわりを持っていること、そして、朝日を浴びる生活習慣が大切であることをお伝えしました。しかし、そうは言っても、朝は何かと忙しく、時間に追われてバタバタと過ごしてしまうという方がほとんどだと思います。忙しい朝に無理なく、有効的に朝日を浴びるには、毎日の暮らしの中で、自然に朝日と接することができるのが一番ですね。そこで重要なポイントとなるのが、住まいの「間取り」なのです。今回は、有効的に朝日を浴びることができる住まい、その間取りについて、お話をしたいと思います。

さて、有効的に朝日を浴びられる住まいをつくるには、どんなことに着目すればよいのでしょう。それは、朝日が最も効率よく当たる明るい場所、東南に、どんな部屋をつくるかということです。
私は間取りの研究家でもありますが、家相研究家として、家相についてのアドバイスも長年してまいりました。その家相でも、太陽の恩恵を多く受ける東南は、住まいの中で最も良い場所、大吉の方位とされています。みなさんも、「東南に玄関のある家は繁栄する」とか、「東南に部屋がある子供は出世する」などという言葉を、耳にされたことがあるかと思います。家相にはこのように、家の間取りで人の運勢が変わるかのような言い伝えが多くありますが、それらは確たる根拠のあるものではありません。
もちろん、東南に玄関や子供部屋をつくることがよくないわけではありません。東南にはどんな部屋をつくっても、明るくさわやかな空間ができることでしょう。ですが、家が繁栄するとか、子供が出世するなどというのは、また別の話ですよね。実際に、私のところへ間取りや家相の相談に来られる方の中には、これらの言い伝えを信じて、東南に玄関を配置されているケースも少なくありません。
そんなとき、私はいつもこうアドバイスしているのです。「家の中で最も朝日があたる場所に、出入りにしか使用しない玄関をつくるのはもったいないですよね?!」と。最も朝日があたる場所なのですから、その環境の良さを最も生かせる間取りにする。家づくりに本当に必要な家相学とは、本来はそういうものなのだというスタンスで、私は活動してきました。

ならば、どんな部屋を東南につくるとよいか、それは「ダイニング」です。東南と最も相性がよい部屋、すなわち、朝日を取り入れるのに最も適した部屋が、ダイニングなのです。体内時計を安定させ、健康的な暮らしを目指す「ハウスサーカディアン」では、私はダイニングこそを、東南につくっていただきたいと考えています。
住まいにはさまざまな部屋がありますが、その中でも、朝家族が集まり、忙しい中でも時間的に一番長く過ごす場所は、朝食をとるダイニングだと思います。そして、そのダイニングを東南につくれば、朝起きてから家族がみな平等に、太陽の恩恵を受けられるからです。
寝室や子供部屋を東南につくるのもよいことですが、そうなると、その部屋を使っている人しか朝日の恩恵を受けることはできませんね。また、目覚めたままカーテンも開けず、薄暗い部屋で身支度をする方も多いはずです。そんな日常の中、東南にダイニングを設けることで、朝食をとりながら自然に、朝日の差す明るい環境に身を置くことができますね。
前回お話をしたように、朝日を浴びることで脳がしっかりと目覚め、セロトニンが分泌されます。そして、食事で栄養を補給することで、脳はより活性化し、胃や腸の働きも活発になります。つまり、朝日を浴びて食事をすることで、心身ともに、一日の活動をスタートさせる準備が整えられるのです。
逆にいえば、朝起きてからも、ずっと暗いままの環境で過ごしていたのでは、頭も体も、そして心も、今ひとつスッキリとしないことでしょう。ましてや朝食もとらないでいたら、活動する力も湧いてきません。会社や学校に出かけるのも、憂鬱に思えてしまうかもしれませんね。
近年、朝食を食べずに登校する子供が増えたと、よく報道されています。朝食も含め、きちんと食事をとらない子供に、「キレル」子が多いともよくいわれます。そこで、子供たちにきちんと朝食を食べるように指導した学校が、学力向上に成功したという話もメディアで紹介されていました。子供に限らず、朝目覚めて自然に朝日と接することができれば、脳がしっかりと目覚め、食欲もわいてきます。朝日を浴びること、そして、朝食をきちんととること。このふたつが、日常生活として普通にできる住まいこそ、家相学上も大吉の住まいといえるでしょう。
ただ、単に東南にダイニングを設けることだけが、有効的に朝日を浴びる間取りづくりではありません。なぜなら、東南にダイニングをつくっても、実際に朝日が差し込まなければ意味がないからです。ですから、周辺の状況も含め、敷地の調査をしっかり行い、朝日がきちんと差すように建物の配置をすることが、まずは大切なポイントですね。
また、敷地や周辺の状況によっては、東南であっても朝日が入りにくい場合もありますね。そのような場合には、その敷地の中で、朝最も明るい場所にダイニングを設けるとよいでしょう。その意味では、2階にダイニングをつくるのもよいことですね。また、近隣の建物の影響で、東側や南側に太陽光が全くあたらず、かえって朝は北側のほうが明るい状況であれば、その場合は、北側のダイニングも良しとお考えください。
朝日を有効的に浴びられる住まいとは、毎日の生活の中で自然に、朝日の中に身を置くことができる住まいです。その間取りづくりのポイントを、下記にまとめてみました。
・家族が朝いちばん集まる場所、ダイニングを東南につくる
・ダイニングに朝日がよく差すように、建物の配置をする
・敷地や周辺の状況によっては、東南でなくても、その土地の中で一番明るい場所に
ダイニングを設ける
みなさんもぜひ、朝の光にあふれる明るいダイニングで、朝食をしっかりと食べ、毎日を元気にスタートさせてくださいね。

〔著作権について〕
住まいの広場「家相・間取り相談室」に掲載されているコンテンツ(文章、画像等)の著作権は、小池 康壽事務所に帰属しています。同事務所に対し事前の書面による承諾を得ることなく、他のWebサイトや印刷媒体等に無断利用することは著作権法により禁じられています。



