「ハウスサーカディアン(商標登録)」の連載も、今回が最後となりました。これまで、体内時計を安定させることの大切さや、体内時計を安定させる住まいづくりのポイントなどをお話ししてまいりましたが、最終回の今回は、住まいである建物の配置について、お話をさせていただきます。
敷地に対してどのように建物を配置するか。これは、住まいづくりにおいてはとても重要なポイントです。ですが、多くの間取り相談を受けてきた経験から言いますと、住まいの中の間取りにはこだわるものの、建物の配置そのものは、意外に考慮されていないことが多いのです。せっかく朝日が入る素敵な間取りになっているのに、建物の配置を間違えているケースを、実にたくさん拝見してきました。これはとてももったいないことですね。 朝日の恩恵をより多く受けるためにも、建物配置のポイントはおさえておきたいですね。

まず、敷地に余裕があるのであれば、敷地境界線から南側、東側こそ、たっぷりあけるようにしましょう。そうすれば、より朝日が入りやすくなり、ハウスサーカディアンの基本理論である「午前中の明るい光を住まいに取り入れること」がしっかりできると思います。ですが、そういった建物配置をしても、朝日が入る時間帯に、その場所を使わないのでは何の意味もありませんね。朝日が入る場所には、できるかぎりダイニングや寝室、子供室をつくり、体内時計の安定した毎日を過ごしていただきたいのです。
私の一戸建ての本宅も、敷地の東側に余裕を持たせ、朝日がしっかり差し込む配置条件にしていますが、朝日は体内時計を安定させるだけでなく、冬場は暖房費の節約にもなり、エコにもつながりますね。また、私の東京のマンションも、東南向きで朝日をしっかり取りこむことができます。今年の冬も寒い日が続きましたが、床暖房も数えるほどしかつけませんでした。逆に夏場は、朝から太陽光を取り入れてしまい、部屋が暑くなると思われますが、それでも午後からの強い日差しを取り込むよりはずいぶん過ごしやすいのです。
極端な話ですが、東側を隣接する建物に近付けて、敷地の西側を大きく取り、西日をたっぷり取りこむような配置にしたら、住まいの快適性が大きく劣ることは、この連載を読んでくださっているみなさんはもうおわかりだと思います。実際にそういった環境で生活されている方もみえるでしょうが、朝日は入らないですし、真夏は暑さで過ごしにくくなってしまうでしょう。ですから、間取りのアドバイスをする際は、建物の配置も、できるかぎり東側に余裕を持つようお話をしています。

東側の空いたスペースを庭にしたり、洗濯物を干す場所に活用すれば、主婦のみなさんもより体内時計を安定させるライフスタイルを送れると思います。洗濯物を干す場所についてもよく相談を受けますが、太陽光を全く受けない場所にしか、洗濯物を干せないような建物配置をしてしまうケースも多いのです。洗濯物を太陽光でしっかり乾かせる建物配置も、サーカディアンの概念を取り入れればできますね。
とはいえ、西側や北側も、敷地に余裕があれば1メートル前後はあけておくのが望ましいですね。北側や西側も隣家と距離をとることで、騒音などのトラブルや、火災の際の延焼の心配などもずいぶん少なくなり、快適に暮らしやすくなりますからね。また、配管や外壁のメンテナンスが必要になる場合もありますから、基本的に建物の周囲はある程度あけて配置することが望ましいのです。そのうえで、東側、南側をあけることができれば理想的でしょう。
ただ、単純に東側をあけたから朝日が入る、というものではない敷地条件もあります。よくあるのは、東側に高い建物があるケースです。そんな場合は、建物の形状を変形させ、朝日を効率よく受けることができる部分をつくるとよいですし、思い切って2階にダイニングをつくるのもよい方法です。
そこで今回は、住まいを建てる土地に関しても、一言アドバイスをさせていただきます。間取りをいろいろと考慮することは大切ですが、やはり土地の条件が良いことは、住まいづくりの理想ですからね。
まず、東側に家が無い土地がよいですね。昔から、東南の角地が一番土地の価値が高いといわれるのは、朝日や南からの光を、最も効率よく住まいに取り入れることができるからです。また、東側が低くなっている土地も理想ですね。東隣に住まいがあっても、朝日が入りやすくなるからです。逆に、西側が低くなっている土地は、西日を受け暑い住まいになりやすいですし、東側の隣接の建物が高くなり、朝日も入りにくくなってしまいます。

東南に朝日が入るダイニングをつくっても、建物の配置がまずければ朝日は入りませんし、敷地の条件が悪くても、朝日を効率よく取り入れることは難しくなってしまいます。そこで、私がおすすめしたいのが、実際に朝日がどのように差すかを体感することです。これから家を建てようという方は、ぜひ、朝食を食べる時間帯に、その土地にどのように朝日が差すのか、実際にその土地で体感していただきたいと思います。そして、建築家や工務店の設計担当者に、朝日をうまく取り入れることができる場所に、ダイニングルームをつくる提案をしていただくとよいでしょう。
建物の配置のポイントは、とにかく東側をあけること。朝日を取り入れることができる建物配置は、ぜひ行っていただきたいと思います。土地の条件や、隣家が3階建てなどで厳しい場合は、プロの方と一緒に現地で体感されることをおすすめします。
せっかくの住まいですから、体内時計を安定させ、家族みんなが健康的に過ごせる「サーカディアンハウス」を、ぜひおつくりいただきたいと思います。そして、この連載が、みなさんの住まいづくりの手助けとなれたら、兄も私もたいへん嬉しく思います。
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