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勝田無一のガーデン講座-3 「囲いの建築」

砦の中に小宇宙をつくって"ビールで夕涼み"の開放感を楽しむ

ガーデナー建築家・勝田無一さんが提案する「囲いの建築」は、建物の外壁を塀にしたり、敷地全体を大胆に囲って外からの視線を遮断して家と庭をつなげるという考え方。

囲いの建築での快適な庭ライフを紹介しながら、光の取り込み方、階上庭園のつくり方などを教えていただきます。

庭の緑や風を楽しみたくて、大きな窓のついた開放的な家を建てたのに、道路からまる見えで落ち着かず、結局窓にはいつもカーテンがかかったまま、庭で過ごすこともなく……そんな残念な住まい方をしている方は決して少なくありません。
そこで私が考案したのが「囲いの建築」でした。中途半端なフェンスではなく、半透明なポリカーボネートなどで、2階までの高さのある塀をつくり、敷地全体をぐるりと囲ってしまう。あるいは建物の外壁自体を塀にして、テラスなどの外部空間ごと包み込んでしまう。
とくに土地が狭くプライバシーも保ちにくい都会で快適に住まうためには、砦を築き、内と外を一体化させた小宇宙をつくる必要があるのではないでしょうか。
こうして設計した「囲いの建築」の中では、みなさん本当にリラックスして暮らしています。
たとえば風呂あがりに裸で中庭テラスに出て、ビールを傾けながら夕涼みだってできます。
外からの視線を遮断したうえで、家と庭をつなげれば、周囲に気をつかわずに戸外の開放感を味わうことができるのです。

【PLAN1】ガラスブロックで光入れて、視線・騒音を遮る都会のリゾート~K様邸~

前後左右が立て込んだ住宅街。横がだめなら上に庭をつくろう、ということで、階上にルーフガーデンを設置。
建物はシンプルな箱形にして、壁自体が塀の代わりになるように設計しました。
壁面の一部にはガラスブロックを組み込んだので、光を入れながらも視線は遮り、壁で囲むことで騒音もかなり防いでくれます。
2階の斜め屋根の下にリビングダイニングをつくり、庭に向かって大きな窓を取ったので、隣家を気にせず窓を開け放ち、光や風を感じて暮らせます。


  • 写真1

写真1:付近の建物の高さを調査して囲いの壁の高さを決めたので、のぞかれる心配もなし。

写真2:リビングダイニングから庭に向けて大窓を設けた開放的な間取り。三角トップライトのバスルームからタオル一枚で夕涼みも。

写真3:シンプルな外観のアーバンコートハウス。ガラスブロックの内側には、都会のリゾートが隠れています。

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【PLAN2】高さ4mの明るい塀で敷地を囲い、庭と室内を開放的につなぐ~T様邸~

光を透過する半透明のパネルで、敷地のまわりに塀を巡らせたダイナミックなプラン。塀は2階までの高さがあるので、道路や隣家からの視線が遮られ、落ち着いてくつろげる明るい庭がつくれますし、家の窓を大きく開けて室内と庭をつなげることができます。
塀は上に抜けているので、建ペイ率も関係なく自由に設置できます。空の青さを手中にするプライベート・ガーデンは、都市型住宅の「外」を楽しく棲みこなすライフスタイルの提案です。


  • 写真7

  • 写真8

写真4:室内→土間空間→庭という3段階の空間が、ゆるやかにつながっています。どこにいても外を感じられる開放感が心地よい。

写真5:家の外観。明るい半透明の塀なので、高さがあっても圧迫感や閉鎖感はありません。

写真6:高さ4mのポリカーボネートの塀を巡らして敷地を囲ったので、明るさはそのままに、まわりの視線を気にせずにくつろげるプライベートガーデンが完成。

写真7:土間空間の一角に設けられたインナーガーデン。坪庭として和室から眺めるのも風情があります。

写真8:土間と庭は大開口で一体化。塀が外からの視線を遮っているので、これだけ開いていても落ち着けるのがうれしい。

写真4

写真5

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そこが知りたい!

Q塀の素材は?風はどう抜けるの?
A素材は、ここではポリカーボネートを使いましたが、FRPも使います。
ポリカーボネートは高級感があるんですが高価なので、少しお値段の安いFRPを採用することが多いですね。
また、防火規制のある地域では、プロフィリット・ガラスを使います。
4mもの塀が立っていると風通しが悪そうですが、ある程度敷地が広ければ、風は自然に抜けます。
狭小地の場合は、風を抜くために、パネルとパネルの間を少しずつ開けて張るといった工夫をします。


【PLAN3】開放感のあるバスタイム。立体テラスで35坪が広々空間に~M様邸~

狭小地でも開放的なエクステリアのある住まいはつくれます。
35坪の敷地を庭ごと囲い込んだプライベートシェルターは、光と風は通しても視線はシャットアウト。
リビングは日当たりのいい2階に設けたので、インナーテラスを眺めおろす立体的な景観を楽しめます。
2階テラスの床には光の透ける素材を使ったので、階下は洗濯干し場にも。
そして、なんといってもユニークなのがバスルーム。
窓の外のテラスには水槽が置かれ、金魚を眺めながらのバスタイムを楽しめます。


  • 写真9

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写真9:「金魚を眺めながら入浴したい」というご希望がかなったバスルーム。大きな窓の外にはテラスガーデンと水槽が。

写真10:2階テラスの床が光を透過するため、その下はこんなに明るい。雨に濡れないので洗濯物干し場として重宝。

写真11:2階テラスはまさにアウトドアリビング。左の折戸を全開すると、室内リビングともつながって開放的なくつろぎの場に。

写真12:1階のインナーテラスには土を入れて木や植物を植え、緑豊かなガーデンに。大きな水槽がアクセントになっています。

写真13:狭い庭も周囲を囲み、内部と開放的につなげることで、広々とした生活空間に。家の外側にもう一つ「外の部屋」をつくる感覚です。奥は2階テラス。

そこが知りたい!

Q安全な害虫よけの薬を教えて!
Aインナーテラスガーデンには土も植物もあるので、どうしても虫が発生します。
でも室内とつながっているから殺虫剤は使いたくない。
そこで家庭で簡単につくれて安全性の高い、生薬の害虫よけをご紹介しましょう。
●唐辛子を使う…両手に山盛り程度の刻み唐辛子と月桂樹を2リットルの焼酎に1週間漬ける+醸造酢+添着剤として植物油原料の粉石けん少々。
濾過して霧吹きで散布。さまざまな病虫害に効果があります。
●コーヒーを使う…飲んだ残りをスプレーするだけで、カフェインを嫌うナメクジを撃退。

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写真12

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【PLAN4】1階中庭+屋上庭園。2つの庭を楽しむ都市型二世帯住宅~S様邸~

上下住み分けの二世帯住宅だからといって、2階世帯の庭をあきらめることはありません。
たとえばこのお宅では、親世帯は1階の中庭に面し、子世帯は2階の屋上庭園に面して、それぞれが庭を取り込んだ開放的な暮らしを楽しんでいます。
なおかつ、1階の中庭は吹き抜けになっているので、上下階の空気をつなげ、お互いのほどよいコミュニケーションの場としても活躍。
屋上庭園は周囲に採光折板を張りめぐらし、視線をシャットアウトした安心の都市型プライベートガーデンです。


  • 写真14

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写真14:親世帯の庭は、和を意識したしつらいで落ち着いた雰囲気に。

写真15:1階の親世帯の中庭は、吹き抜けになって2階の子世帯とつながっています。庭を通じて広がりを共有し、コミュニケーションがとれます。

写真16:2階の子世帯LDKからデッキテラスと屋上ガーデンを見る。トラス木組みの大きな屋根架構が戸外との心地よい一体感を演出。

写真17:中庭の吹き抜けをはさんで広がる2階のデッキテラスは、床に光の透けるグレーチングを採用して階下を明るくしています。手前がLDK、奥が屋上ガーデン。

写真18:採光パネルのスクリーンを使った囲いの建築。外から見るとシンプルな箱形の住宅です。

写真17

写真18



そこが知りたい!

Q階上庭園には軽い土が必要?
A2階や屋上などで使う土は、軽いに越したことはありません。
とくにこのお宅は木造なので、土の重さには神経を使いました。
水の重さを蓄積しない排水性と適度な保水性をあわせ持つ土の配合が肝心。
また、底部の目づまりしない排水層が大切です。
使用しているのは杉の皮やヤシ殻などが入った比重0.3の有機系の土。
少し黒土を混ぜたり、自動灌水装置をつけたりして保水性を高めています。
写真は屋上庭園の植え込み。中木程度はじゅうぶんに植栽できます。
今は苗木ですが数年後には見ごたえのある木になるでしょう。
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